提案事例 ~ねじ開発ストーリー~

六角穴付きの極低頭ボルト

産業機械/機器

ご要望

「キャップスクリューでは頭が邪魔になる部分で必要となる、頭の高さが1.5mmのボルトを作って欲しい。キャップメーカーでは一般的に販売しているが、高価なので代替品を探している。」

POINT

  • 高さ1.5mmという極薄のヘッド
  • 深い六角穴
  • コストを抑えて実現
六角穴付きの極低頭ボルト

完成までを振り返って

この六角穴付きの極低頭ボルトの開発・製造担当者の萬世にインタビューした内容を紹介します。

頭飛びのリスクと六角矢の“モチ”

このボルトを製造するにあたり、方法はすぐに2~3通り思い浮かんでいましたが、頭飛びのリスクと六角矢の“モチ”を懸念していました。
極薄のヘッドは冷間圧造過程で失敗すれば簡単に頭が飛んでしまいます。加えて六角穴が深いので矢打加工では矢の交換頻度が高くなる可能性があり、ランニングコストが高くなる恐れがありました。
検討した結果、まず始めに平頭を成形してから矢打加工を行ってみましたが、この方法では設計通りに矢が入っていきませんでした。次に試したのは冷間で下穴を開けておく方法です。この方法では精度よくでき、上手くいきました。

頭飛びのリスクと六角矢の“モチ”

量産前に直面した問題

2つ目の下穴を開ける方法で上手くいったので、問題はなくなったと思いきや量産の段階で新たな問題に直面しました。できたボルトを入念にチェックをすると、クラック(ひび割れ)が見つかったのです。極薄のヘッドが矢打の衝撃に耐えられなかったようでした。

薄いヘッドのままでは矢打加工はできないと分かったので、頭を厚く作り、後から座面を切削する方法を思いつきました。しかし、途中で加工方法を変えるのはコストも高くなります。なによりここまできて諦めるのは非常にもったいないので、最後にもう一度だけ最初の加工方法を見直してトライすることにしました。

クラックの原因について金型メーカーさんと相談をして、肉シロ計算が現実とは違っていたのではないかという推測に至り、微調整をして挑戦したところ頭の飛びや変形もみられず、設計通りの低頭ボルトができました。

この六角穴付極低頭ボルトは社員だけでなく、多くの人の助けがあったから実現できたものだと思います。

量産前に直面した問題
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